女性が電流を放てる世界になったら

男女差恋愛学106。筆者は既婚男性。

 

 

少し先の未来。

女性たちは体から電流を放てるようになった。

それにより男性優位だった社会は大きく変わることになる。

 

 

※この記事は小説『パワー』(著:ナオミ・オルダーマン 翻訳:安原和見  河出書房新社)の設定を基にした二次創作です。

 

設定

すべての女性は肉体接触によって相手の体に任意の出力の電流を流すことができる。

激痛を与えることができる

気絶させることができる

殺すことができる(感電死)

勃起させることができる

勃起不全にできる

ハラスメント

女性へのパワハラ、セクハラ、痴漢が撲滅する。逆に女性から男性へのハラスメントはどんどん増加していく。

前時代に性被害にあった女性による加害男性への報復が各地で行われる。無差別に男性を襲う男狩りも。性犯罪の報復の場合、男性は勃起不全にさせられることが多い。

女性は痴漢されたらその手に電撃。痴漢「この女に電流を流された」 女性「私じゃありません。証拠あるんですか?」 周りは「どうせ痴漢したから電撃されたんだろ」というムード。

女性は男性に愛想笑いをしなくて済むようになる。男性の自慢話に女性は「その話聞きたくないです」と言えるようになる。「電撃されたいんですか?(笑)」と言えば男性はひるむ。

男性は女性からのボディータッチを恐れるようになる。男性からは親しみを込めたボディータッチなのか、電撃するぞという脅しなのか分からない。

女性が男性の肩を叩いて挨拶。男性がおびえると「電撃されると思った?(笑)」 女性がボディータッチして自分が怖がるかどうか試しているのかもしれない、と男性は感じる。

男性が海外旅行に行き現地女性から加害を受けたら、日本女性たちから「自業自得」と言われる。

女性が男性を相手の年収額で呼ぶなどのいじめやパワハラがどんどん増加。チビ、ハゲ、デブ、童貞は相当いじられる。

「愛のあるいじりだから(笑)」

「男に生理が来ないのはずるい」「妊娠・出産も男がすればいいのに」とよく言われるようになる。言われた男性は申し訳なさそうにしないといけない。

女性による痴漢が増加。ほぼ全ての男性は泣き寝入りする。そのような社会背景により電車の女性専用車両がすべて男性専用車両に変わる。

ストレスが溜まると誰でもいいので男性を電撃したくなる女性も現れる。酔った勢いで男性を電撃する女性も現れる。

不細工な男性は通りすがりの女性に笑われたり電流を流されたりする。

若い女性から電撃されたら嬉しいでしょ?(笑)」

「電撃されたくなかったら自衛すれば?(笑)」

実際、絶縁素材の服が発売され、よく売れている。

「俺ペースメーカーつけてるから電撃されると死んじゃうよ?」という身を守る嘘が流行る。「ペースメーカーをつけています」というキーホルダーが売れる。

ナイフを持ち歩く男性が現れるが、女性にナイフを見せると逆上し殺されるので持たないほうが良いと言われる。

女性同士では電撃を使わないという暗黙の了解がある。女性が男性に電撃したりハラスメントするのは見て見ぬ振り。今までハラスメントされてきてそのつらさが分かる女性も見て見ぬ振り。

ハラスメントする男性はハラスメントをしないと生きていけないので、その対象が女性から弱い男性へと変わる。

父親から息子への暴力、暴言、虐待が増加。

女性社員にセクハラやパワハラができなくなった男性社員は、無能男性社員や男性新入社員にハラスメントを向けるようになる。女性社員からもハラスメントを受けるため彼らの離職率が伸びる。

子供や若者が、通りすがりの中年男性から怒鳴られたり説教されたりする。説教おじさんと呼ばれる。弱い男性を狙ってわざとぶつかってくることもある。中年男性が返り討ちに遭って道端に倒れていたりする。

女性たちに平和が訪れたが、流れる涙の総量は変わらない。

社会

「私がその気になればこの男はいつでも殺せる。男に強めの電撃を与えれば土下座して命乞いをしてくる」と思えば男性と対等に、むしろ男性より優位に話ができるようになる。

女性であるだけで目上の存在であるかのようになる。 

新興宗教「女性たちが電流を放てるようになったのは、男性が支配してきたこの世界に神が呆れ、正しい世界に書き換えるため、愚かな男たちを駆逐するために与えられたものである」

電撃も暴力と同様に扱うとして法整備されるが、電撃は外傷が残らず、女性が複数にいた場合は犯人の特定が困難。加害が明らかな場合にしか逮捕に至っていない。

男性たちは「電撃は最低の行為」という風潮を作る。女性の電撃事件では冤罪で重罪にして見せしめ。女性たちに電撃を使いづらくさせる。

男性「いかなる場合でも電撃を使った可能性のある女性は処罰されるべきだ」
女性「お前らは痴漢もセクハラも差別も黙認してきたのに?」
男性は沈黙する。

男性「電撃を人に向けるなんて大人のすることではない」
女性「前時代の男性のセクハラは大人のすることだったの?」
男性は沈黙する。

男性がネットで女性叩きをすると女性たちから「目の前来て言ってみろや(笑)」「かかってこいや(笑)」とあおられる。

「今まではお前らが野蛮だっただけで、これからは女も野蛮になっただけ」

男性は女性をおそれるようになる。

女性にジロジロ見られると緊張する。

女性と密室で2人きりは緊張する。

エレベーターで2人きりも緊張する。

女性がイライラしていると怖い。

夜道を歩くのは怖い。

女性を怒らせないように気を遣うようになる。

女性のつまらない話を楽しそうに聴くようになる。

それを無理女性に脈ありと思われてもっとアプローチされる。

無理女性からデートに誘われてどう断ろうか困る。

女性からのセクハラは「笑ってうまくかわすべき」と言われる。

ストーカー被害を訴える男性が急増。下手に逆らったら殺されるかもしれないので、穏便に断ろうとするがメンヘラ女性にそれが通じない。

女性恐怖症の男性が増加。男性の精神疾患や自殺や動物虐待が増加。今まで女性を見下すことで自我を保っていた弱い男性はそれができなくなった。男性専用マンションも誕生。

「男であることを辞めたい」と言う男性が増加。

女装する男性が増加。女装していれば女性から襲われる心配はないと思っているが、女装なんてすぐ分かるし女性は馬鹿にして見ている。

幼い男の子「どうして僕は電気を出せないの?」
母親「男の子に産んでごめんね」

●第1世代

急に電撃が出現して社会がパニック。誰が使えて誰が使えないのか分からない。これは病気なのか。男性たちは自分の利権や威厳が失われないように必死になる。電撃を使った女性は逮捕され隔離される。秘密裏に解剖をされたりする。なぜ電流を放てるのかは解明できない。

女性たちはいきなり力を手に入れたが、電流のコントロールが分からない。使えば相手を殺してしまうかもしれない。倫理観は前時代のまま。「電撃(暴力の脅威)を使うのは今まで男性がやってきたことと同じことなのでは?」

女性は男性に「お前も電撃を使うのか」と疑われる。女性は疑いを晴らさないといけないようになる。男性は女性不信。男女間で戦争状態になったりもする。

●第2世代

すべての女性が電流を放てると分かる。生まれてくる女の子も使える。パニックは収まる。

「女性は電撃を使わないように我慢しているのに、前時代と同じように男性にしいたげられているのはおかしい」という声が上がり始める。

女性から男性へのハラスメントが増え始める。男性もそれに屈し始める。

●第3世代

女性が電撃を使うこともなく男性が女性に逆らうことは滅多にない社会になる。警察官、自衛官、会社役員、政治家の半数以上が女性になり、女性の総理大臣が一般的になる。

男性差別

「男らしい」という言葉の意味が「女性にとって都合の良い言動をとり、女性に従順である」という意味に変わる。

女性に対して反抗的な態度や言動をとったら「男らしくないよ」「そんなんじゃ結婚できないよ」と言われる。

筋肉質な男性は「男らしくない」「存在が女性に反抗的」「頭が悪そう」と言われるようになる。筋肉質が好きな女性もいて、筋肉アリ派と筋肉ナシ派で分かれる。筋肉アリ派は「私たちのために体を鍛えろ。薄着しろ」「男なんだから体鍛えなよ」「胸でかいね。何センチ?(笑)」と平気で言う。

「女らしい」という言葉は、男性に媚びず、男性に屈せず、男性に頼らず、自立した聡明な女性という意味になる。

「男性を立てる」という言葉が廃れ、「女性を立てる」という言葉が一般的になる。

女性客に男性が対応すると舐められるのに、女性が対応するとすんなり話が通る。

男性を「おい」と呼ぶ女性が増えてくる。

2ちゃんねるでは男性の書き込みだと分かると途端に馬鹿にされる。

「男のくせに」「男の割りに」「男としては」「男は信用できない」「男に大きな仕事は任せられない」「家事は男がするもの」「男は働き蟻」「男は劣勢性別」

ハラスメントや差別を訴える男性たちが現れるが、世論は「これまで電撃されるようなことをしてきた男性が悪い」という風潮。

男性差別に反対する女性たち「私たちは電撃を使いません」 男性「でも感情的になったら使うんでしょ? 男が『何もしないから』というのと同じでは」

男性たちがマスキュリズム(男性解放運動)(フェミニズムの対義)を始める。「#MeToo」は男性のものになる。

#電撃反対

#電撃は暴力

#男は女の奴隷ではない

#俺たちが何をしたというんだ

#こんな世界間違ってる

恋愛・夫婦

男性から女性のナンパはほぼなくなる。女性から男性へのナンパは増加。

マッチングアプリでは体目的の男性が大幅に減り、女性のほうが会員が多くなる逆転が起きる。

セフレにされる女性が激減。逆に恋愛搾取される男性が激増。

夫のハラスメントによる離婚予備軍の半数以上が離婚。離婚を申し出るのは報復を恐れた夫がほとんど。

DV夫やモラハラ夫が一転して妻に優しくなる。妻からの電撃に屈するという屈辱を味わうくらいなら媚びてても懐柔したほうがいい。

女性によるDVが急増。カップルや夫婦で喧嘩になると、電撃されるかもしれないので、男性は怒鳴りながらも距離を取る。口論の末に電撃で男性が死亡するケースもある。

恋愛において男性は消極的になっていく。女性に気に食わない言動をしたら電撃されるかもしれないという恐怖がある。振られた上に電撃されるのは男性にとって大きな屈辱。男性の恋愛離れが進む。

女性は男性に従順さを求めるようになる。女性の妊娠・出産は変わらないので、彼氏や夫に経済力や人間性を求めるのは変わらない。

女性アイドルの人気が低下、アニメやVTuberの架空女性の人気が加速。男性たちが現実女性から離れるようになり、恋愛意欲がある男性が減少。

時代が進むと、男性の恋愛に「女性から選ばれる」という考えが定着してくる。男性ファッション誌が乱立。メンズメイクが一般的に。男性向け漫画に女性から選ばれることを目指す恋愛漫画が増える。

男性ファッション誌「愛され男子ファッション」「男子力UP」「電撃されない処世術」「DV彼女を見抜け」

性行為の主導権が女性になる。女性がその男性としたいか、今したいかどうか。

女性は性行為したかったらできる。「私が勃たせてあげる」「私のことが好きならできるでしょ」

男性からの性交渉が命がけになる。相手が恋人であっても怒らせたら何をされるか分からない。「私は電撃しないよ」を信じられるか。それを乗り越えて性行為をすることが愛だと言われる。

男性は性行為したいが電撃されるかもしれないと思うと性欲のスイッチが入りづらい。恐る恐るなので楽しめない。性行為への意欲が落ちる。わざわざ女性のご機嫌を取って陳情してまでしたいとは思わない。ますます男性の恋愛離れが進む。

風俗

男性は女性を恐れたり、劣等感を感じたり、心を許せなくなりキャバクラも性風俗も利用客が減少。男性たちは女性には安心してなんでも話せなくなった。

反対にゲイバーが盛況をする。童顔男性キャバクラも流行る。男性の肯定や称賛されたい欲求はなくなることはない。

風俗の痛客が減少。「私痛いことをされるとびっくりして電撃しちゃうんですよ(笑)」と言えば男性はひるむ。

男性の同性愛が増加。売り専(ゲイ風俗)が増加。

性犯罪

女性へのレイプが撲滅する。最早女性も「レイプされるかも」という心配はほとんどしてない。

女性が男性をレイプするようになる。男性を電撃で気絶させ、勃起させて犯す。電撃で脅して嫌がるのを犯す。

被害男性が女性を訴えても「勃起したということは合意があったのでは」とみんなから疑われる。

「相手男性から誘ってきた」

「2人でお酒を飲むというのは性行為の合意でしょ?」

「部屋にあがっていいということは性行為の合意でしょ?」

「密室に女性と2人きりなんて『好きにしてください』と言ってるようなもんじゃん」

男性は中年ブス女性から「レイプされるかもしれない」という恐怖を持つようになる。実際に夜道で襲われレイプされる事件は多発している。イケメンは襲われやすくなるので不安。

レイプという言葉の通常の意味が「女性が男性を無理矢理犯すこと」という意味に変わる。男性が女性を無理矢理犯すことを逆レイプと言う。

援助交際の半分以上は単独美人局になる。ホテルに着いたら男性は気絶させられ、裸と個人情報の写真を撮られ、勃起不全にさせられ、お金を取られ、帰られる。もはや援助交際は廃れていく。

幼女でも男性を気絶させる出力は出せるので、強姦したい男性はより弱い男性を狙うようになる。10歳前後の少年が誘拐や強姦される事件が多発する。

おわりに

男性のみなさんは読んでいてほとんど不快だったと思いますが、女性はこれに近い世界を今生きています。それを分かってもらうために書きました。

『女性が電流を放つ世界になったら』の設定を用いて、一次創作、二次創作をすることに誰の許可も必要ありません。この設定自体が小説『パワー』の二次創作です。

この設定、またはこの設定によって作られた創作物の呼称を「パワーバース」で統一をお願いします。

パワーバースの世界になったら、社会や男女がこうなるのではないかというご意見を募集しております。加筆いたしますのでよろしくお願いいたします。

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【雑記】

 この小説は、未来の世界から過去を振り返る「歴史小説」のスタイルを取っている。

かつて世界は男性が支配していたが、ある時から女性が突然変異で特殊なパワーを持ち始めた。鎖骨部分に「skein」という筋肉のような臓器が発達し、そこから発電して相手を感電させることができるようになったのだ。

この能力を持つのは、はじめのうち数人の特別な少女たちだけだった。しかし、数が増え、パワーを鍛える方法が編み出され、女性が力で男性社会を覆すようになっていった。この小説では、数人の登場人物がこの変移を綴る。

 

パワーのおかげで社会の男女の権限も変化する。

政情が不安定なある国で残虐な女性が政権を握り、独裁者として男性の虐待を行うようになる。

電気刺激を与えられるパワーにより、女性は男性を虐待することもできるし、殺すこともできる。性交を拒否する男性に電気刺激を与えて勃起させることができるので、レイプもできるし、性奴隷にすることもできる。男の性奴隷の命は安いので、虐待して殺しても、利用する側には罪の意識はない。

男性は女性の保護者なしには外出も買い物も許されなくなる。単独で行動すると、食べることができなくなり、女性集団から襲われ、性的に陵辱されたり、殺されたりする。

「子孫を残すために男は必要だが、数が多い必要はない」と男性を間引きする案も女性から出るようになる。

 

男性ジャーナリストのトゥンデが男性の独り歩きで恐怖を覚えるようになる心理状態や、罪のない若い男がパワーを持った残虐な女らに玩具にされて殺される描写を読んで、現実の世界で女性が体験していることを、少しでも想像してほしい。

パワー

パワー

この小説ではこの記事のような一般社会の変化の描写はほとんど描かれていませんのでご注意ください。ハリウッド映画をイメージしたほうがいいです。

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