【幕間】おるすばんカードを発案した

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僕はある日ある家の前で、10歳前後の男の子が半泣きでオロオロしているのを見かけたので声をかけることにしました。こういうときに子供に「大丈夫?」と訊いてはいけません。子供は自分の状況が大丈夫なのか判断できませんし、「大丈夫の定義とは?」とさらにパニックになってしまいます。

 

「今困っとるよね。何があったん?」

「お父さんが帰って来ん」

「お父さんはどこへ行ったん?」

「車の修理をしに行った」

「お母さんは?」

「仕事」

「お父さんは何時に出たん?」

「10時に出た。1時間経ったのに帰って来ん」

 

このとき11時15分。お父さんは帰宅予定時間を伝えていなかったし、この子としては1時間以内に帰ってくるだろうなと思っていたのでしょう。

 

「おうちに電話がある?」

「ない」

「お父さんの電話番号分かる?」

「分からん」

「お母さんの電話番号分かる?」

「分かる」

 

最悪連絡はつくと思いました。受け答えがちゃんとできている状態ですし、車の修理ならこのまま留守番を続けてもいいのではないかと判断しました。

 

「車の修理だったらね、時間がかかっとるんかもしれんし、他のお客さんがおったらそっちを先にしとるんかもしれんのんよ」

男の子は話を聞けている。動揺も落ち着いてきている。

「お昼ご飯どうするか聞いとる?」

「聞いてない」

「こういうことがよくある?」

 

男の子は首を横に振ったあと、そうか、みたいな表情をしました。僕としてはろくでもない父親なのかという質問でしたが、男の子は「こういうことが初めてだから動揺したのか」と気づいたようでした。

 

「お父さんはお昼の前に帰ってきて、お昼ご飯の用意をする予定だと思うんよ」

「うん」

「でもお父さんが1時間も帰って来んかったら不安にはなるよね。12時ぐらいまで一人で待てる?」

「待てる」

「じゃあもうちょっと待ってみようね。もし帰って来んかったら、近所の人にお母さんに電話してもらおう。それでいこう」

 

僕は男の子の背中をポンと叩きました。男の子は少し笑顔になって家に戻って行きました。

10歳前後の男の子でもこういうことで動揺するのだなと思いました。僕には今3歳前の子供がいます。親としては留守番させるときにはちゃんと予定を伝えて、ルールを決めたりしないといけないのだなと思いました。「ちょっと外出するから留守番しててね」だと、親は大丈夫だと思っても子供はすごく不安になるだろうなと思いました。

 

親が予定通りに帰って来れないとか、最悪交通事故で死んだとしたら、留守番をしている子供はどうすればいいか考えておかないといけません。 親が口頭で伝えても、子供は話を聞いていなかったり、忘れたり勘違いをするので、親が紙に書くしかないと思います。紙に書けば子供がパニックでしゃべれなくても、救助者が紙を見て対応できます。

という経緯で「おるすばんカード」を発案しました。

 

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【雑記】

 

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